今回は映画『傷物語 -こよみヴァンプ-』を見てきたので、あらすじ・感想・評価・考察などをネタバレ有でご紹介したいと思います。
三部作も視聴済みの私から見た感想や違いなんかを記載したいと思います!
こんな人に読んでもらいたい!
- 映画『傷物語 -こよみヴァンプ-』をまだ見ていない人
- とりあえずどんな作品かを知りたい人
- 映画『○○』は、映画館で見るに値するかを知りたい人
この記事を読んで戴ければ映画『傷物語 -こよみヴァンプ-』の魅力を知れるだけでなく、きっと映画館に見に行きたくなることでしょう。
映画『傷物語 -こよみヴァンプ-』のあらすじ【ネタバレ有】
阿良々木暦が彼女と出会ったのは、ある夜のことだった。
キスショット・アセロラオリオン・ハートアンダーブレード。
伝説の吸血鬼。怪異殺し。怪異の王。
腕も脚も無残に引き千切られ、豪奢なドレスを赤く染めて、無惨な姿で血の海に倒れる化物。
しかし暦は、そんな彼女を美しいと思った──西尾維新による小説をシャフトがアニメ化した〈物語〉シリーズの、原点。
三部作として公開された映画『傷物語』が、ひとつの物語となる。
全ての〈物語〉のはじまりを、ふたたび
本作品『傷物語』は『物語シリーズ』においての始まりの物語であり、2015年に〈Ⅰ 鉄血篇〉、2016年に〈Ⅱ 熱血篇〉、そして2017年に〈Ⅲ 冷血篇〉の三部作が、既に劇場公開されています。
今回の『傷物語 -こよみヴァンプ-』は、その三部作を1つにまとめた作品となっています。
『傷物語 -こよみヴァンプ-』のストーリー
さて、おおまかなストーリーですが―――
クラスメイトから吸血鬼の噂を聞いた主人公・阿良々木暦は、その日の深夜に吸血鬼のキスショット・アセロラオリオン・ハートアンダーブレード(以下 キスショット)に遭遇します。
瀕死の状態であったキスショットを自身の命と引き換えに助けた阿良々木暦。しかしキスショットにより眷属の吸血鬼となって生きながらえることになります。
元の人間に戻るにはキスショットが完全復活する必要があり、阿良々木暦はキスショットから四肢を奪った3人の吸血鬼ハンターと勝負して取り戻します。
しかしそれは人を喰らう吸血鬼を蘇らせてしまったんだということに気付いた阿良々木暦は、キスショットと対峙。
最終的に阿良々木暦は、誰もが平等に不幸になる選択をして……ノーハッピーエンド。
―――ってカンジですかね。
誰もが不幸になる選択をする……つまりハッピーエンドにはならない、誰もが傷つくだけ・傷ついただけの物語―――『傷物語』というわけですね。
映画『傷物語 -こよみヴァンプ-』の感想・評価・考察【ネタバレ有】
ココからは実際に映画『傷物語 -こよみヴァンプ-』を見てきた私の感想や評価、考察などをネタバレ有で語っていきたいと思います。
まさに阿良々木暦の原点たる作品
本作品『傷物語』を含めた『物語シリーズ』は、主に主人公である阿良々木暦の活躍がメインとなる作品群なわけですが。
この『傷物語』は、まさにそんな阿良々木暦の原点になる作品だなぁと改めて感じることが出来ることでしょう。
それは―――吸血鬼・キスショットを助けたことですね。
誰かを助けるために自分の命を捧げられる高校生なんて、普通じゃないですよね。さらにその誰かが「人間」ではなく「化物」なんですから、常軌を逸していますよ。
正直「阿良々木暦」という人間は異常と言わざるを得ません。そしてそんな異常性からこの『物語シリーズ』は始まったと言えるでしょう。
まぁそんな「異常さ」があってこそ阿良々木暦であり、それこそが阿良々木暦の魅力であると言っても過言ではないですけどね笑
そしてこの春休みで様々なことを経験したことで「阿良々木暦」は、より「阿良々木暦」になったんだなと感じることのできる作品だと思います。
主に三部作を再構成しただけの作品
上記でも記載しましたが、そもそも『傷物語』自体は既に三部作で劇場公開されている作品であり、小説『傷物語』が原作になっています。
今回の『傷物語 -こよみヴァンプ-』も当然小説の『傷物語』が原作になっているわけですが。
ぶっちゃけ『傷物語 -こよみヴァンプ-』は、既に公開された三部作を再構成しただけの作品でした。
正直に話せば、初見の人―――既に公開されている三部作を見たことがない人からすれば、無理のない程度には再構成されているので問題かもしれないなぁ……くらいです。
ですが私のように三部作を見たことのある人からすると、残念だったと言わざるを得ません。
全部が全部残念だったわけではないですが、その原因は、1つの映画作品するためにかなりのシーンをカットしてしまったことです。
まぁ三部作は合計3時間31分(1時間2分+1時間7分+1時間22分)もありますからね。。。それを2時間24分にまとめたらそうなりますよね、って話です。
ではどのような再構成がなされたのか……続きます。
キスショットのアップへの修正は良かった
まず全ての映像が三部作の使いまわしではありません。何カ所かは本作品用に修正されています。
その中でもキスショットのバストアップへの修正は良かったですね。
これはキスショットが完全体に戻り、阿良々木暦と会話をした後に「そろそろ人間へと戻してやろう」的な発言をしたときのシーンです。
三部作(冷血篇)の時は身体全体が見えるような、ちょっと引きの映像だったのですが、本作品ではバストアップに修正されていました。
バストアップなので、キスショットの表情がよくわかる表現になっているんですよね。。。彼女がどんな思いで阿良々木暦を人間へと戻してあげようとしているのかが伝わってくるカンジです。
なんとも切なげな表情がいいカンジでしたね。。。まさに目を奪われる表情が、そこにはあったってカンジで笑
是非ともそこは注目してもらいたい修正点でした。
〈Ⅱ 熱血篇〉のカットがえげつない笑
どうしたって1時間近くの尺をカットする必要があった本作品。
その大部分は三部作の2作目〈Ⅱ熱血篇〉でしたね。。。カットがえげつないことになってました笑
〈Ⅱ 熱血篇〉は、主に吸血鬼ハンターであるドラマツルギー・エピソード・ギロチンカッターとのバトルで構成されていたのですが。
バトルシーンのカットはほぼなかったですが、そこに至るまで―――つまり彼らの説明たるシーンが完全カットでしたね。
例えばドラマツルギーが吸血鬼である話とか、エピソードがバンパイアハーフである話とか、ギロチンカッターが聖職者である話とか、まるまるカットされていました。
なのでそれを説明するキスショットのセリフも大幅カットされていて……もうホント残念でした。脳みそに手を突っ込んでグリグリするキスショットのシーンとかも全部カットでしたしね。
なので何の説明もなく、矢継ぎ早に吸血鬼ハンターたちと戦っていく流れなので「どうなの?」ってなる人も多いことでしょう。
「語り」が少ないのでわかりにくく、『物語シリーズ』感が薄い
これは上記のカットの話にも繋がることなのですが。
本作品『傷物語 -こよみヴァンプ-』は、とにかく「語り」が少ないのでわかりにくく、さらには『物語シリーズ』感も薄いです。
そもそも三部作の段階でもかなり少なかったのですが、本作品はより「語り」がカットされていますので、わかりにくさが若干あります。
「語り」というのは主に「説明」ですからね。。。設定や状況をより把握しやすくしてくれている要素なので、見ている側・受け取る側に委ねられている部分が強い印象でした。
特に「なぜ阿良々木暦はキスショットと戦うことになったのか?」についてのシーンがカットされており、印象としてはいきなりバトルするような流れになっています。
それに『物語シリーズ』において「語り」は、「物語シリーズらしさ」に繋がると思っているので、その辺りもどうなの?って思いました。
とにかく阿良々木暦・キスショット・羽川翼のセリフが減り過ぎです。下手したら忍野メメが一番セリフが多いのではないかと思ったほどです笑
まぁ新規ファンを取り込みたかったのかもしれませんがね。。。微妙です。
あの伝説のシーンがカットされてた!!!!!
そして何よりも言いたい、異議申し立て仕りたいのがコレです!
あの伝説のシーン……体育倉庫での羽川翼とのあのやりとりが全面カットされていたんですよ!
まず第一に、『物語シリーズ』というのは脱線ありきというか、本筋には全く関わりのないやりとりや会話が多いのが特徴であり、それこそが魅力でもあると私は思っています。
そんな『物語シリーズ』の原点たる『傷物語』にも、本筋には関係ないシーンが多く存在し、三部作ではそれらがキチンと描かれていました。
ですが! 本作品においてはコメディテイストな部分は、その全てがカットされているんです!
例えば、ドラマツルギーとのバトル後の羽川との会話とかね。「お前の財産目当てだったんだ!」とか、スカートの中を見せてくれるシーンとか。
それ以外にもギロチンカッターとのバトル前の原っぱのシーンとか。コーラかけとか、もちろん羽川から下着をもらうシーンとかも!
そして極めつけは、体育倉庫でのやりとりですよ!
おっぱいを揉ませてくれ的な流れから、羽川を言葉攻めするもビビッて土下座して謝って肩をもむっていう、あの伝説のシーンがですよ! まさかのカット! マジかよ!?ってなりました笑
……こうしてみると羽川とのエッチなやりとりに関してが多いですね。。。この映画はR12指定なんだから別に良くね?って思ったり笑
とにかく残念極まりなかったですよ! 物語シリーズ好きはあのシーしてるといっても過言ではないはずなのに!
シャフトの未来がかかっている?
本作品のアニメ制作は当然「シャフト」が手掛けているわけですが。
もしかしたら本作品は、今後のシャフトの未来がかかっているのかもしれませんね。
シャフトには数多くの有名作がありますが、ここ数年で大ヒットと呼べるような作品は出ていない印象です。
そしてこれはネット上での噂話かもしれませんが、近年シャフトでは有名なクリエイターたちの退職などが相次いでおり、かつての栄光に陰りが見えていると言われています。
そんな状況で2024年1月12日『傷物語 -こよみヴァンプ-』公開、そして2024年1月18日に『物語シリーズ』最新作である『オフ&モンスターシーズン』の製作発表がなされたのです。
これはつまり……現状の打開策として「過去のヒット作の続編」に踏み切ったのではないかと。
つまり再構成することで製作費を抑えた『傷物語 -こよみヴァンプ-』を劇場公開して資金を稼ぎつつ、『物語シリーズ』を思い出してもらって続編への足掛かりにする戦略ですね。
正直あり得る話かなって思います。『物語シリーズ』の原作小説はまだ続いていますが、アニメとしては現在の終わり(終物語)がベストに感じるからです。
まぁともあれアニメ『物語シリーズ』が大好きな私としては、シャフトには頑張ってもらいたいところですね。
制作会社が変わると作風が変わってしまうことも多いアニメ業界ですし、『物語シリーズ』はシャフトの表現があってこそ!とも思っていますから。
【まとめ】シャフトの為に数回は見に行こうかなって作品でした!
いかがでしょうか。正直に、そして個人的な意見として言わせてもらえば「3部作の方が良かったかもなぁ……」という印象です。
構成としては無理のない程度に1つへまとめられているので、さらっと内容だけを確認するレベルの楽しみ方なら問題ないですが、『物語シリーズ』として存分に楽しみたいと思うと物足りないです。
ですがシャフトにはこの先も頑張って戴きたい!と思っている私は、とりあえず後何回かは劇場に足を運ぼうかと思っています。
なのでこの記事を読んでくださった貴方も是非、シャフトの為に見に行ってはいかがでしょうか。
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