【レビュー】EVEシリーズ『EVE rebirth terror』の感想・評価と考察《ネタバレ有》

今回は2019年4月25日に発売されたEVEシリーズ『EVE rebirth terror(イヴリバーステラー)』の感想や評価、そして考察をネタバレ有でご紹介したいと思います。

出たらやるでしょ!?という謎の圧倒的使命感に、もう私の全カイジがざわざわしまくり状態でプレイしました笑

こんな人に読んでもらいたい!

  • 『EVE burst error』が好きな人
  • 今までEVEシリーズが出る度にプレイしていた人
  • ATフィールド全開と勘違いしない人笑

この記事を読んで戴ければ、間違いなくすぐにでもプレイしたくなるに違いありません。ええ、間違いないでしょう。

原点となる『EVE burst error(イヴバーストエラー)』についてはこちら。

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EVEシリーズ『EVE rebirth terror(イヴリバーステラー)』の概要・あらすじ

引用:©EL Dia EVE rebirth terror(公式サイト)

バーストエラー事件から一年。失踪した教師、死因不明の遺体、再び起こる謎の事件。二人の運命は、また新たな悲劇を辿る……。

【天城小次郎編】あいも変わらず売れないあまぎ探偵事務所。優秀なアシスタントの加入により地味な依頼をこなし、食うには困らないが探偵としての本能が満たされず、小次郎は日々に退屈を感じていた。そんなある日、小次郎には因縁深いエール外国人学校にて、学校の先生が失踪するという事件がおきたのを調査してほしいとの依頼が舞い込む。久々にキナ臭さを感じる事件に、依頼を受けることにするのだが……。

【法条まりな編】かつて任務達成率99%を誇った伝説のエージェント、まりな。だがある事件による挫折から現場を退き、燃え尽きたような日々を送っていた。そして一年前と変わらず、同じビルでまりなを迎えた本部長から与えられた任務は、不可解な死に方をした研究者の再調査。それと時を同じくして、海外から多数の殺し屋が日本に集結しつつあることを聞く……。

引用:EVE rebirth terror


【感想】プレイした率直な感想《ネタバレ有》

ここからは『EVE rebirth terror(イヴリバーステラー)』の率直な感想をご紹介したいと思います。

完全攻略ガイドはこちら!

【非公式】『EVE rebirth terror』完全攻略ガイド
今回はPSVITA・PS4・Nintendo Switchで販売されている『EVE rebirth terror(イヴリ...

帰ってきた感がスゴかった

プレイしてまず最初に思ったのが、懐かしさ・安心感でした。

ホント懐かしかったですね。

特に設定が『EVE burst error』から1年後ということもあって、ほとんど世界は変わらない……というか、新規の場所以外は『EVE burst error R』の背景は、ほぼそのままでした。

『EVE burst error』が1990年代の世界観ということもあって、セントラルアベニューには最近見かけなくなった電話ボックスがあったりする辺りがとても懐かしいかったです。

また流れるBGMもほぼ同じでしたね。

倉庫街やセントラルアベニュー、桂木探偵事務所など、リメイク・シリーズ通して何度となく訪れた場所ではお馴染みのメロディが流れてきました。

久々のプレイに帰ってきた感を感じずにはいられませんでしたね。

若干のボリューム不足感は否めない

実際プレイした時間ですが、13時間程度でした。

全てのキャラボイスを聞いていたわけではないにせよ、コマンド総当たりしてもその程度でしたね。

シナリオ的になぜここの部分を削ったのかと感じる部分もあったりもして、少し物足りない感があったくらいです。

二転三転した『EVE burst error』の方が圧倒的に長く感じることでしょう。

ヒント機能はいらないかも

『EVE rebirth terror』には、次の移動するべき場所を示してくれたりするヒント機能がついています。

これがあることによってストーリーを進める上では楽になるのでしょうが、プレイした結果から言えば使うほどでもなかったですね。

これをフル活用してもプレイ時間はそれほど変わらないかと思います。。。というか、ヒント機能は使わない方がより楽しめますね。

ストーリーを進めるのに必要のない無駄コマンドにこそ面白いテキストが紛れていて、それこそがEVEという作品だ!と言いたいからです。

それにそういったコマンドを選択することにより得られるトロフィーもありますので、是非選択してみてください。

ちょっと残念だったマルチサイトシステム

そしてEVEシリーズと言えばやはり「マルチサイトシステム」……ですが。

今作はあまり凝った使い方はされなかったので残念でした。

もちろん全く使われなかったに等しい『EVE ZERO』ほどではないですが、互いに接触する場面や扉の外と中での鍵の開け閉め程度でしたね。

『EVE burst error』でのハッキングのようなシーンもなく、切り替えが少なかったです。

基本的は進まなくなるまで片方のサイトで進めるだけで良いので、切り替えポイントもすぐに分かりましたしね

残念と言わざるを得ませんでした。

特典は2種類

さらに今作『EVE rebirth terror』はPS4版とPSVITA版が同時に発売されたのですが、それぞれ収録されている特典が違いました。

特典
  • 『EVE burst error R』収録(PS4版のみ)
  • ミニエピソードビジュアルノベル『reverse drive』収録(PS VITA版のみ)

『EVE burst error』未プレイの人はPS4版『EVE rebirth terror』を購入した方が良いでしょう。

プレイしている人はミニエピソードビジュアルノベルがついてくるPSVITA版『EVE rebirth terror』を買った方が良いと思います。

まぁビジュアルノベル自体は特典というよりはオマケ要素が強かったですがね……これについては若干考察があるので後述に記載します。

また限定版特典はスペシャル原画集がついてきます。

【評価】賛否両論なキャラクターについて《ネタバレ有》

ここでは『EVE rebirth terror(イヴリバーステラー)』のキャラクター関連の評価を書かせていただこうと思います。

キャラクターボイスについて

キャラクターを語る上で、まずは何を置いてもキャラクターボイスです。

初めてボイスが収録されたセガサターン版『EVE burst error』が発売されたのが1997年―――そして2019年に今作『EVE rebirth terror』が発売されるまで、22年。

シリーズ通して主要メンバーだった桂木弥生役の本多知恵子さん、そして甲野三郎(本部長)役の野沢那智さんが亡くなられました。

ご冥福をお祈りいたします。

それによってキャラクターボイスが変更されています。

キャラクターボイス変更(一部)
キャラクター名 変更前 変更後
桂木 弥生 本多 知恵子 行成 とあ
甲野 三郎(本部長) 野沢 那智 内田 直哉
桐野 杏子 今井 由香 大橋 彩香

上記以外にも一部のキャラクターボイスが変更になっています。

これはネタバレが強すぎるので詳細は避けますが、ヒントは「戻っている」ってことです。

メインキャラであり声優さんも有名なのですぐわかっちゃうと思いますけどね。

フルボイスじゃなくなった主人公

悲しいことに主人公である小次郎・まりながフルボイスではなくなってしまいました。

小次郎サイドではまりなの声が、まりなサイドでは小次郎の声は聞こえるものの、基本的には聞こえないんですよね、今回。

総当たりコマンド式の主人公をフルボイスにすると収録量がとんでもないことになるので、有名声優2人のギャラが高くてボイスを減らさざるを得なかったのではないでしょうか。

キャラクターデザインは原作準拠

EVE rebirth terror(イヴ リバーステラー) 初回限定版 【限定版同梱物】スペシャル原画集 同梱 - PS4

今作は、原作デジタルリマスター版である『EVE burst error R』のキャラクターデザインを元に描かれています。

ですが、主人公・天城小次郎のデザインには若干違和感を感じざるを得ませんね。

「長髪で野暮ったく怪しい感じだが、不思議と清潔感はある」というのが小次郎なのに、これだとちょっとスッキリし過ぎです。

耳周りとかね。まぁ洗礼されたと言えば聞こえはいいんでしょうけど。

また『EVE burst error』に登場していないのに、なぜか今作から準レギュラーとなった桐野 杏子もそうですね。

彼女に関しては『EVE The Lost One』を踏襲しているとは言いにくいデザインであり、完全新規オリジナルに近いです。

主要キャラクターの性格については賛否両論

個人的には不満を感じる部分もありました。

天城 小次郎

口調(特に語尾)に違和感を感じますね。

依頼人に対しても「デブ」と平気で言うような、そういった悪ふざけやからかいを会話の中に織り込んでくる印象が強いのが小次郎でした。

しかし、そういった要素が少なくて小次郎っぽさがないんですよ。

また基本的に女性キャラをちゃん付けとかしないはずなのにしてたり……ちゃん付けしてたのは桂木探偵事務所の受付担当の景子ちゃんくらいだったはず。

大体プリンや御堂真弥子に対してだってちゃん付けしなかったのに、今作のヒロイン達や桐野杏子をちゃん付けとかしないだろって話なんですよね。

法条 まりな

結構『EVE burst error』のままに近くて安心・安堵でした。

『EVE The Fatal Attraction』ほどのキャラ設定の崩壊も見られませんでしたね。

強いて言えば、オジサマ好きのくせにこの男に惹かれないだろってとこくらいでしょうか。

源三郎と比較したら「流石にこの男は絶対にない」と言わざるを得ないですね。

桂木 弥生

少し幼くなってしまった印象を受けました。

ボイスが変更になったこともそう感じる要因ではあると思いますが、クールビューティーさが減った感じです。キャラデザはそんなことないんですけどね。

小次郎のこととなると動揺するのは変わってないですが、そのハードルがかなり下がってしまいましたね……可愛さが増したとも言えますけど。

甲野本部長

キャラクター性についてはあまり違和感がないものの、オネエ言葉が少なくなりました

これもちょっと残念でした。

氷室 恭子

今作では3人目の主人公枠となった彼女ですが―――

小次郎に対する様々な感情に違和感……というか設定矛盾を感じました。

特に恋愛感情においては、本作『EVE rebirth terror』にて改めてそれに気づいたかのような描写があるんです。

ですが原点の『EVE burst error』では小次郎に惚れたからこそ、彼を言いくるめてあまぎ探偵事務所へ転職したみたいに感じる描写だったので、矛盾と言わざるを得ませんね。

【評価】毎回論争巻き起こるシナリオ・設定《ネタバレ有》

ここでは『EVE rebirth terror(イヴリバーステラー)』のシナリオに対する評価を書かせていただこうと思います。

『EVE burst error』を完結させた作品

引用:©EL Dia EVE burst error R(公式サイト)

シナリオや設定についてです。

まず言えるのは、この『EVE rebirth terror』は『EVE burst error』の続編―――『EVE burst error』を完結させた作品であるということです。

続編なので基準は当然『EVE burst error』となっており、『EVE burst error』に登場したキャラクターの中でメインと言えなかったキャラクターが、今回シナリオのキーパーソンなっていたりします。

それ以外にも主要キャラクター達に対して、後付け設定で相関させた新キャラクターが登場します。

ホームページでも紹介されているからネタバレにはならないので名前だけは挙げますが「キア」という少年などがそうです。

彼は主に桂木弥生と絡むシーンが多いのですが、残念なことにあまり目立たない……というかシナリオに必要性がなく出番が少ないんです。

それに引っ張られたのか桂木弥生の出番も少なく感じましたね。

推理モノとしての難易度は低め

推理モノとしての難解度は低めな印象です。

シナリオとしては「えっ!? マジで!?」っと思わされる展開はあるものの、突飛なストーリー展開はなかったと思います。

またキャラクター達のセリフでは、固有名詞を出さずにぼやかしていたりもしてますが、EVEファンからすればバレバレな部分も多々ありました。

特にデザインやボイスから「そのまんまじゃん」となるキャラクターも複数いたりもします。

謎的な部分や犯人的は部分に関しても、最初から怪しいなと思えるくらいのレベルでした。

しかし、エンディングに続くクライマックスな部分に関しては、伏線はあるものの結構ぶっ飛んだSF要素を組み込んでくるので少し残念だなぁと感じましたね。

最も気になった点

それは今までに発売されたEVEシリーズ作品を無理やり盛り込んでいる点です。

これは意図してやっていると思われます。間違いないでしょう。

まずは『EVE ZERO』です。

これは『EVE burst error』の2年前の話であり『EVE burst error』の設定的な部分(主に御堂真弥子誕生について)が物語の核になっている作品です。

なので『EVE rebirth terror』においてもこの設定を踏まえた上でのストーリー展開となっており、本編では『EVE ZERO』に登場した単語や人物名が度々出てきます。

『悦楽の学園』もそうです。

タイトルにEVEを冠していないのでEVEシリーズとは呼びにくいですが、一部設定などが盛り込まれており、その辺りは嬉しいシナリオでした。

上記の2つは『EVE burst error』の前―――

つまり『EVE rebirth terror』から見ても前の話であり、盛り込まれても設定的な部分になるのでシナリオ的に見て、なんら問題はありませんでした。

ですが、時系列的に『EVE burst error』の後―――

『EVE rebirth terror』から見ても後になるシリーズ作品『EVE The Lost One』と『EVE The Fatal Attraction』を、無理やり『EVE rebirth terror』のシナリオに盛り込んできているのです。

どういうことかというと―――

『EVE The Lost One』と『EVE The Fatal Attraction』それぞれのシナリオの核になるいくつかの要素を、ちょっと違う設定やちょっと違った名前に変えて登場させたり。

そればかりか、矛盾を承知で無理やり登場させたりして『EVE rebirth terror』のシナリオにがっつり食い込ませてきているんですよ。

プレイ途中にそれらの部分が出てきた時は「時系列的にその後の『EVE The Lost One』や『EVE The Fatal Attraction』に繋げる為の布石・伏線なのだろう」と思っていました。

ですが最後までプレイした結果、無理やり盛り込んでそのアイディアを使っただけでした。

実際かなりの数の要素が見て取れましたね。

各シリーズ作品に生じた矛盾

わかりやすいところで言えば、桐野杏子の存在です。

『EVE The Lost One』初登場で、教官まりなの教え子という設定でした。

しかしその設定は完全にぶっ飛んでいるだけでなく、主要キャラクターとの交遊関係もおかしくなっています。

弥生とは既に面識があったり、『EVE The Lost One』にて初対面だった小次郎とも今作で知り合うことになり、そしてそれなりに深く関わってしまっているんです。

特に問題なのは、エンディングですね。

『EVE rebirth terror』は『EVE burst error』の1年後の作品です。

そして『EVE The Lost One』と『EVE The Fatal Attraction』は、それぞれ『EVE burst error』の3年後、4年後の時系列です。

なので『EVE rebirth terror』は『EVE burst error』と『EVE The Lost One』の間に位置する作品になると予想していました。

ですが先程も言った通り、組み込まれた要素は布石・伏線にすらなりません。

それどころか『EVE rebirth terror』は『EVE The Lost One』や『EVE The Fatal Attraction』に繋がらないエンディングを迎えるのです。

ネタバレが酷くなるので詳細は伏せますが、ヒントとしては『EVE burst error』のラストの一枚絵です。

これ以上は実際にプレイして見てもらいたいですね。

布石・伏線をぶっ壊したシナリオ

話を戻します。

確かに今まで新作が出る度に設定の矛盾を指摘されることも多いシリーズではありました。

しかし、これほどまでに前後関係や繋がり、布石・伏線をぶっ壊すようなシナリオは今までありませんでした。

それはスピンオフの小説版ですらもありませんでした。まぁもちろん『EVE new generation』のようにエルディア・EVE(御堂真弥子)を絡ませない作品は別ですけど。

特に言いたいのは―――

この『EVE rebirth terror』のシナリオだと、先に発売されているにもかかわらず『EVE The Lost One』や『EVE The Fatal Attraction』の方が二番煎じにさえ感じてしまう!

―――ということです。

なぜこんなシナリオにしたのでしょうか。考察してみました。

【考察】なぜ過去のシリーズ作品を無理やり盛り込んだのか?《ネタバレ有》

上記で記載した以外にも、例えば『EVE burst error』ではメインと言えなかったキャラクターがシナリオに関わっています。

このキャラクター達は、察するに『バーストエラー イブ・ザ・ファースト』の要素を盛り込みたかったのでは?と推察できたりもします。

では、なぜこれほどまでにも過去のEVEシリーズ作品を無理やり盛り込んだのでしょうか。

今後の新作を踏まえての発売元の戦略の一手ではないか?

まず第一に、今作の『EVE rebirth terror』の方向性については、開発こぼれ話としてTwitterに挙げられています。

この開発こぼれ話では「あくまで開発側がどういったEVEを見たいかで方向性を決め、時系列の整合性よりも『EVE burst error』の後であることを意識して作った」と言ってます。

ですがそれだったら、整合性は置いておいても―――

『EVE The Lost One』や『EVE The Fatal Attraction』それぞれのシナリオの核になるような要素を盛り込む必要はない

―――と思います。

むしろ避けるべきであるとさえ言えるのではないでしょうか。

開発側の意図では?

なのに敢えて意図的に盛り込んできた……そこで考えられることですが―――

これは今後のEVEシリーズの販売戦略なのではないか?―――ということです。

現在EVEシリーズを販売しているのがELDia(エルディア)。その名前からも察するに今後もEVEシリーズを看板作品として売り出したいに違いありません。

先程も触れましたが、開発こぼれ話では「開発側がどういったEVEを見たいかで方向性を決めた」かのように言っています。

ですがそれよりも「どういったEVEが売れるのか」を意識して作っているに決まっています。企業である以上、自己満足で作っているわけがないのですから。

それを意識した上でシナリオの方向性を考えた時に、ネックになっているものが2つあります。

ネック①「時代感・年齢」「時系列」

1つ目は時代感・年齢や時系列などの時間に関する部分です。

シリーズ作品を生み出す以上、どうしたって避けては通れない道であるとも言えるでしょうね。

時代感が古い

EVEシリーズは基本的に『EVE burst error』が基準であり『EVE burst error』から何年前、あるいは何年後としてシナリオが作成されています。

そんな『EVE burst error』は199X年の事件―――つまりシナリオは1990年代辺りの時代感なわけです。

これが古臭くてシナリオに影響を及ぼしているのです。

正直この時代感だと、携帯・スマホすらシナリオに組み込めません。

事実『EVE rebirth terror』では公衆電話を利用しているし、コンピューター等の機械類についてもシナリオでは極力触れていません。

現代における探偵モノや推理モノにおいて、ネットやコンピューター関連がシナリオに使えないというのは厳しいことでしょう。

特に若い世代のプレイヤーにはウケにくいかと思います。

主人公が年寄りに

だったら「一気に時間を進めて、時代感を現代に合わせてしまえばよいだろう」と考えます。「『EVE burst error』から10年後とか15年後にしてシナリオを作ればいいだろう」と。

ですが、そうすると今度はメインキャラクターの年齢が問題になってくるのです。

『EVE burst error』の段階で小次郎・まりなは20代後半でした。

時系列的に一番新しかった『EVE The Fatal Attraction』では『EVE burst error』の4年後で、30代前半の設定です。(『EVE new generation』は不明の為、除外)

これ以上老けた主人公というのは、やはり無理があるでしょう。

いくらキャラデザでカバーできるとはいっても、感情移入しにくいジジィやババァが主人公のゲームなんて、誰もやりたがらないのは明白ですよね。

主人公の交代は?

だったら「主人公の交代をすればいい」と思うかもしれませんが、「主人公を変える」という選択肢は、製作者側からすれば選びにくいのです。

なぜなら、それは『EVE The Lost One』で酷評されて失敗しているからですね。

これは当然ですね。好きって言う人も中にはいましたが、当時だけでなく今に至るまで酷評だらけな印象です。悲しいかな。

時系列を無視すると?

そうなると次は「時系列を無視した作品にしてしまえば、時代感を現代に合わせられる」と考えます。

EVEシリーズにおいて時系列を無視するということは、エルディア・EVE(御堂真弥子)をシナリオに関わらせないということになります。

『EVE burst error』の完成度の高さゆえに酷評続きだったEVEシリーズ。

そんなシリーズにとって「エルディア・EVE(御堂真弥子)を関わらせないシナリオ作り」というのは、自由度が上がってより良いものが生まれる可能性がありました。

実際そういった方向性から生み出されたのが『EVE new generation』です。

結果として『EVE new generation』のシナリオは、比較的高い評価を受けました。

ですが、ここでもう1つのネックが顔を見せるのです。

ネック② EVEらしさ

引用:©イマジニア イマジニア株式会社

2つ目のネックは、EVEらしさに関わる部分です。

シリーズ作品は基本的に「既存のファンを取り込まないと売れない」のは周知の事実ですからね。

「EVEらしさ」がなくなる

開発のこぼれ話では「バーストエラー事件に触れないのには違和感がある」という書かれ方をしていました。

ですが実際の所は―――

時系列を無視して時代感を現代に合わせた作品は、新規の若い世代のプレイヤーにはウケたが、EVEファンからは「EVEらしさがなくてダメ」という低評価を喰らってしまった。

―――ということでしょう。

正直ファンからしてみれば『EVE new generation』は、小次郎・まりなの良さが完全になくなっていました。

それにキャラクターの名前だけを持ってきただけでこれをEVEを呼ばれても……となったのは間違いありませんでした。

時代感だけ合わせてみたが……

ならばと『EVE burst error』の時代感だけを現代に合わせてみた『EVE burst error』のリメイク版が発売されました。

それが『バーストエラー イブ・ザ・ファースト』な訳ですが……コレが大失敗。

シナリオが悪化してしまい、EVEシリーズ全体の評価が落ちてしまいました。時代感だけを上手いこと変更できれば、もしかしたら上手くいったのかもしれませんがね。

ここまでの問題点のまとめ

ここまでの問題点をまとめると―――

問題点
  • 時系列を意識すると、時代感が古臭くなり若い世代にウケない
  • 時系列を無視すると、「EVEらしさ」がなくなり古参のEVEファンに受け入れられない
  • 『EVE burst error』の時代感だけを現代に合わせたら大失敗
  • 『EVE burst error』から離れすぎた時間軸の新作はキャラ年齢がアウト
  • 主人公交代もリスキー

―――となります。

新たな時系列の構築の可能性

そこで最終的に考えられたのが「新たな時系列の構築」ではないかと考察できるのです。

つまり今後の新たなEVEシリーズの新作は、既存の『EVE burst error』に続く『EVE The Lost One』『EVE The Fatal Attraction』の時系列に組み込むのではなく―――

新たに『EVE burst error』から始まる別の時系列を作り出し、それに則って新作を生み出していこうとしているのではないか?

―――ということです。

時代感の問題は?

例えば今後『EVE burst error』から3年後の新作を作ったとしても、新たな時系列であれば過去のEVEシリーズの時代感に合わせる必要がなくなります。

つまり3年という短い月日でも無理なく時代感を一気に進めて現代に合わせることが出来るわけです。

ぶっちゃけそんなに一気に文明?は進化しませんけど、そこはゲームの中ってことで一気に進めて小次郎やまりながスマホを活用する時代感になってもいいわけです。

年齢感の問題は?

新たな時系列であれば、過去のEVEシリーズとの整合性を意識する必要がなくなります。

つまり『EVE burst error』から1~5年後以内とかでも自由に作れるようになることから、メインキャラクターの年齢感をそれほど意識しないで済むということになります。

この先シリーズ作品を10作品以上出たとしても、新たな時系列内での整合性さえ取れていればいいわけですから、3か月後とか半年後でバンバン作れますよねってことです。

EVEらしさは?

新たな時系列であっても『EVE burst error』から始まる時系列があれば、「EVEらしさ」を失わずに済むことにもなるというわけです。

つまり今までの整合性を無視して、EVE・御堂麻弥子・エルディア辺りを絡めたシリーズ作品を生み出すことが出来るってことですね。

まさに万事解決ではないでしょうか。

つまり既存のEVEシリーズを、時系列と共に終わらせるシナリオでは?

そういった方向性・戦略を打ち立てた上で生まれたのであれば―――

この『EVE rebirth terror』は「新たな時系列構築の為の分岐点になるべく生み出された作品」だと考えられることが出来るでしょう。

故に『EVE burst error』の続編として位置してるだけではありません。

『EVE burst error』を完結させたシナリオーーー

つまり、過去のEVEシリーズ作品の要素を全て盛り込むことにより、そのEVEシリーズ作品を、その時系列と共に終わらせるシナリオになっているのではないか?と考察できる

―――という訳です。

そう考えると、気になっていた点も納得が出来るものになってきます。

作品やファンに対する敬意ではないか

無理やりにでも過去のEVEシリーズ作品の要素を盛り込んだ理由。

それはそれらの作品に対してや、それらの作品を愛してくれていたファンに対する敬意なのではないでしょうか。

まぁ「過去のEVEシリーズを蔑ろにはしてませんよ」というアピールかもしれませんけどね。

あるいは「過去のEVEシリーズは『EVE rebirth terror』内に盛り込んで完結させましたから、今後の作品は時系列的な不整合にはなりませんよ」という前もった言い訳要素かもしれません笑

新たな時系列の布石・伏線ではないか

それ以外も、気になっていた――

  • 不要に感じるキャラクターの登場
  • 過去のEVEシリーズとの設定矛盾

―――など。

これらは今後の発売する予定の新たな時系列のEVEシリーズに必要な要素として蒔いた布石・伏線ではないかと推察できます。

日付のアイキャッチ動画の西暦が四桁から二桁に変更になっている点も、時代感を現代に合わせようとしているのだろうというのが見えてきます。

考察を後押し

その考察を後押ししてくれているのが、PSVITA版の特典であるミニエピソードビジュアルノベル『reverse drive』です。

これは導入部分だけの短いエピソードで、これが今後のEVEシリーズの予告に感じられます。

ですがその内容は今まで以上にSF要素が盛り込まれそうなカンジであり、今までのEVEシリーズの時系列の時代感では実現不可能そうな印象なのです。

もしこのミニエピソードビジュアルノベル『reverse drive』が次回作になるなら、時代感はせめて現代まで合わせる必要があります。

そうすると新たな時系列を必要としている印象を受けるのです。

もちろんSF要素が強めのシナリオをEVEファンに受け入れてもらえるかのテストも兼ねているとは思うので、次回作間違いなしとは言えませんがね。

考察の結論

考察の結論。

なぜ過去のEVEシリーズ作品を無理やり盛り込んだのか。

それは―――

今までのEVEシリーズを、時系列を含めて『EVE rebirth terror』内で完結させ、新たな時系列で今後新作のEVEシリーズを作って売り出していくという販売戦略

―――だと思われます。

例えば『EVE rebirth terror』から1年後、小次郎・まりなが主人公で、エルディアの要素を無理のない程度に組み込まれたシナリオとかで販売されるんじゃね?ってことですね。

とはいえあくまで個人的な、いちEVEファンの考察なので悪しからず。単純に古参へのファンサービスな可能性も多分にありますから。

【2022/11/21 追記】時系列について

時系列については、最新作までを網羅してわかりやすく解説した記事を作成致しました。

【最新作まで!】EVEシリーズの時系列は?わかりやすく解説!《ネタバレ・考察含む》
今回はEVEシリーズの時系列は? その答えをネタバレ・考察を含めてわかりやすく解説したいと思います。2022年6月に発売...

宜しければこちらをご覧ください。

【まとめ】過去のシリーズ作品をどこまでプレイしてるかで受ける印象が変わる作品

さて。レビューのまとめですが。

『EVE burst error』と比べてしまうと、やっぱりちょっとアレですが、それなりの完成度のある作品でしたね。

ゆったりプレイしても15時間程度でエンディングまで行ける気軽さも含めて、十分プレイして良かったと感じられる作品でした。信者乙は否定しませんが。

一応言っておけば。

この『EVE rebirth terror』から始めるという人は少ないでしょうけど、最低でも原点である『EVE burst error』は事前にプレイしておく必要がある作品ではあります。

プレイしておかないと正直何もわからないですからね。。。そしてプレイするならば『EVE burst error R』が理想ですね。

可能ならWindows版やセガサターン版でも構いませんが、PS2版の『EVE burst error PLUS』はあまりおすすめしません。

なぜなら、デザインが違い過ぎるキャラクターがいるからです。

そのキャラクターが『EVE rebirth terror』ではそれなりに重要になってくるので、デザインが違うと多分ピンとこないでしょう。ボイスが一緒だから分かるかもしれませんが。

ちなみに『バーストエラー イブ・ザ・ファースト』は論外です。あれはリメイクとは呼べないので。

さらには可能であれば『EVE ZERO』と『悦楽の学園』もプレイしてあると、より楽しめることでしょう。

まぁ『悦楽の学園』はオマケ要素が強いので、プレイしなくても良いかもしれません。

ですが『EVE ZERO』の方はプレイしておくと『EVE rebirth terror』に出てくる語句の意味がより理解できるのでおすすめです。

また『EVE The Lost One』と『EVE The Fatal Attraction』については、事前にプレイしておく必要はあまりないでしょう。

ないですが……もし『EVE rebirth terror』をプレイする前の段階で「興味があってプレイしたいな」と思っているなら、先にプレイした方が良いですね。

『EVE rebirth terror』の後に『EVE The Lost One』や『EVE The Fatal Attraction』をプレイすると「は? これってほとんど同じシナリオじゃね?」ってなりますから。

まぁそんなかんじで。

どこまでプレイしているかで印象が変わる『EVE rebirth terror』ですが、その最たる部分がやはりエンディングです。

果たしてどう感じるのか。是非プレイして確かめてみてはいかがでしょうか。

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