今回は2000年3月30日に発売された『EVE ZERO(イヴゼロ)』の感想や評価、そして考察をネタバレ有でご紹介したいと思います。
この令和の時代に、改めて過去のEVEシリーズ作品をプレイしてみました!ってことで、今回はPS1版の『EVE ZERO』になります!
こんな人に読んでもらいたい!
- 『EVE burst error』が好きな人
- アドベンチャーゲームが好きな人
- EVEシリーズをプレイしたことのある人
この記事を読んで戴ければ、間違いなくすぐにでもプレイしたくなるに違いありません。ええ、間違いないでしょう。
原点となる『EVE burst error(イヴバーストエラー)』についてはこちら。
EVEシリーズ『EVE ZERO(イヴゼロ)』の概要・あらすじ
『EVE burst error』の2年前を舞台に、桂木探偵事務所の所長代理「天城小次郎」と警視庁公安第六課の敏腕捜査官「法条まりな」の2人の主人公が連続猟奇殺人事件に巻き込まれ、やがて事件の真相にせまっていく。
【小次郎編】
家出した息子の捜索という依頼を引き受けた小次郎。最初はごくありふれた依頼かと思われたが、ただの家出人探しだけでは終わらなかった。依頼人「仁科秀人」から逃げようとする中学生の息子「榊原真」。家出騒動の裏には小次郎の過去にもつながる大きな事件の真相が隠されていた。【まりな編】
本来殺人事件の捜査は担当外であるはずの公安第六課に連続猟奇殺人事件の捜査をまわされ、まりなにその任務がまかされた。と同時にアメリカからやって来たVIPの護衛任務、不思議な少女「トア」との出会い。別々の出来事と思われたそれぞれの事象にやがて関連性が見え始め、より深い事件へと発展していく。
【感想】プレイした率直な感想《ネタバレ有》
ここからは『EVE ZERO(イヴゼロ)』の率直な感想をご紹介したいと思います。
数年ぶりのプレイ! より面白く感じた!
私が最後に『EVE ZERO(イヴゼロ)』をプレイしたのは数年前なので、かなり久々のプレイだったわけですが……
当時の私より当然脳みそが成長しており、理解力が大分上がったのでより面白く感じましたね!
最後のプレイした頃はただただ小次郎・まりなの活躍を楽しんでいるだけだった部分もあったので、内容の理解度はそこまで高くなかったなぁと、今更プレイすることで感じましたね。
今にして思えば、とてもナノマシンとか医療技術だとか、そういった側面が強い作品だったんだなぁ。。。なんて笑
なので私のように幼い頃にプレイしたっきりな人も、今プレイすることでより楽しさを理解できると思いますよ!
内容が濃い割には、短めのプレイ時間
上記にも書いた通りで『EVE ZERO(イヴゼロ)』は結構専門的?な話も多くて内容が濃いのですが。
その割にはプレイ時間は比較的短いプレイ時間だったと思います。
選択肢を網羅した上にダラダラプレイしても20時間はかからないですかね。。。本当にパパっとプレイしたら10時間もあればクリア出来てしまうことでしょう。
特に今回私がプレイしたのはPS1版でしたからね。。。ドリームキャスト版などの完全版はマルチエンディングが採用されていますので、プレイ次第では時間がかかります。
出来ればドリームキャスト版をプレイしたかったんですけどね。。。ですがマニア笑として必ずゲットしてプレイしたいと思ってます!
ゲームの古さやシステムに関しては、まぁ我慢
この『EVE ZERO(イヴゼロ)』は、PS1(プレイステーション)で発売され、その後PC版・ドリームキャスト版と販売されたタイトルです。
なので画像が古いです。とにかく荒くて見にくく感じることでしょう。
特に小次郎・まりなが登場するキャラクターと内緒話をするシステムである「フォーカスモード」については、キャラクターがアップになるのでかなり荒いです。
まぁ当時はまだブラウン管テレビが主流でしたからこれくらいでも問題なかったのでしょうが、今のテレビのクオリティだと、ただただ荒いので我慢が必要です。
さらにさらにゲームシステム的なモノについても、かなり我慢しないといけません。
私は今回PS3にてPS版『EVE ZERO(イヴゼロ)』をプレイしたのですが、とにかくセーブ・ロードとサイトチェンジに時間がかかります。
当時はこんなに遅くても何も感じなかったんだろうなぁ。。。ですが今のゲーム機の速さが当たり前になっている人からするとストレスを感じてしまうかもしれません。
そして個人的に「これはないわぁぁ」と感じた部分が「ログが見返せない」という点ですね。
ログを見返せないので、間違えてボタンを押しすぎてしまってテキストをすっ飛ばしてしまうと、そこを読み直すことが出来ないんです。
マジでこれは困ります。重要なことを話していたかもしれないのに、ついつい押しすぎてしまったが故に分からず仕舞いで……何度かロードしてやり直しました泣
こういった部分については、とにかく我慢が必要ですのでご注意を笑
やっぱマルチサイトシステムの意味はないなぁ。。。
『EVEシリーズ』といえば、やはり外せないシステムとして「マルチサイトシステム」があります。
主人公である小次郎とまりなの視点を入れ替えることで、事件を2つの側面から捜査し、さらには協力し合って乗り切る―――のが魅力の1つです。
ですがこの『EVE ZERO(イヴゼロ)』においては……マルチサイトシステムの意味が全くないんですよね。
これは最初にプレイした時もそうでしたし、新たに再プレイした最近でも、プレイする前からわかっていたことです。
小次郎とまりなは『EVE burst error(イヴバーストエラー)』の時に初対面してますので、それより時系列的に前である『EVE ZERO(イヴゼロ)』で出会って協力とかしちゃうと矛盾が生じてしまいますからね。
なので本当に協力プレイとかはないですね。。。終盤に「ドアの鍵を開ける」くらいしか接点もありません。もちろん顔は合わせません。
寧ろ逆にニアミスを楽しむまであるカンジのマルチサイトシステムでした笑
特に終盤は同じ場所にいますから、出会わないようにしながら視点切り替えするカンジなので、それはそれで面白さもあるのかなと思いました。
【評価・考察】改めてプレイした上での評価と考察《ネタバレ有》
ここでは『EVE ZERO(イヴゼロ)』を改めてプレイした上での評価や考察を、ネタバレ有で書かせていただこうと思います。
小次郎とまりなの「幼さ」に不満
『EVE ZERO(イヴゼロ)』は原点となる『EVE burst error(バーストエラー)』の2年前の物語です。
小次郎は桂木探偵事務所の副所長であり、まりなは公安六課の捜査員という立場で事件に関わっていくのですが……
正直2人とも「幼さ」過ぎて不満を感じてしまうことでしょう。
『EVE burst error(バーストエラー)』での小次郎・まりなが好きな人からすると、今作の小次郎・まりなは、とにかく未熟で頼りないんですよね。
ココからはネタバレを含みます。
フツーの探偵・小次郎
まずは「天城小次郎」についてです。
最初に今回面白かった点として挙げられるのが、いわゆる家族や過去に関する話ですね。
父親や母親についてや、いかにして桂木源三郎の元で働くことになったのか、弥生との出会いなどが描かれていますので、その辺りはファン・マニアからすると嬉しいシナリオでした。
ですがこの段階での小次郎は、完全にフツーの探偵なんですよね笑
実はこのシナリオ内で、初めて源三郎から銃(グロック)を受け取ることになり、そして初めて人を殺してしまうという描写があるんです。
銃を持つことに抵抗を感じ、さらには銃で人を殺してしまったことに酷く動揺する小次郎……あまりファン・マニアからしたら見たい描写ではなかったですね。
しかも感情的な言動も目立つんですよ。個人的に小次郎って「ユーモアあふれるキャラだけど、内面はクールでハード」なので、ちょっとイメージが崩れます。
もっと危ない橋を渡ってきた一流の探偵であってほしかったなぁと感じてしまいましたね。
フツーの公安刑事・まりな
次に「法条まりな」についてです。
最初に今回面白かった点として挙げられるのが、いかにして内閣調査室へと異動になるのかという話ですね。
今回の事件が、公安で働くまりなが内閣調査室へ引き抜かれるきっかけになった事件となるので、その辺りが描かれていて良かったと思います。
ですがこの段階でのまりなは、完全にフツーの公安刑事なんですよね笑
一応その思想や働きっぷりを本部長は評価していますが、とにかく未熟であることが目に付くまりなです。推理力はもちろんのこと、行動力に至ってもフツーです。
なにより「覚悟」がないんですよね。
今回のシナリオの中でその「覚悟」を持つようになるカンジではあるのですが、それにしたって不平不満があるわりには……と感じてしまうシーンが随所に見られます。
個人的にはとにかくずっと最前線で活躍している最強エージェントであって欲しかったなぁと感じてしまいましたね。
触れざるを得ない矛盾
『EVE ZERO(イヴゼロ)』を語る上で、どうしたって避けて通れないのが「設定矛盾」です。
他のシリーズ作品と大きく異なる点として『EVE ZERO(イヴゼロ)』は唯一原点となる『EVE burst error(イヴバーストエラー)』より前の話なんです。
なので『EVE burst error(イヴバーストエラー)』へ問題なく繋がるようなシナリオが求められたわけですが……結果として矛盾が生じてしまっています。
最大の謎であり矛盾キャラクター・桂木源三郎
実はこのEVEシリーズにおいて最も謎を抱えており、そして矛盾を生じさせているキャラクターがいます。
それが「桂木源三郎」です。
源三郎は弥生の父親であり、そして小次郎の探偵としての師匠なんですが……実は彼にはかなり謎が多く、そして矛盾があります。
それは主に「経歴」に関する部分ですね。
「桂木源三郎」の経歴については、様々な資料からひも解くことが出来るのですが、実はそれらを見ていくと矛盾や不明瞭な点がかなり多く出てきます。
特に『EVE ZERO(イヴゼロ)』は「御堂真弥子誕生」に深くかかわる話であり、その辺りの源三郎の動きはかなり矛盾していると思います。
詳細は「桂木源三郎の経歴」をまとめた記事を書かせて頂こうと思います。
新シリーズへの繋がる設定について
上記にも記載した通りで『EVE ZERO(イヴゼロ)』は、唯一原点となる『EVE burst error(イヴバーストエラー)』より前の話なんです。
なのでココで登場した設定やキャラなどが、時系列的に後になるEVEシリーズ作品に登場することで『EVEシリーズ』としての繋がりを見せています。
実はこの繋がりなんですが、近年発売された新シリーズにも登場したんですよね!
この辺りはファン・マニアとしてかなり嬉しい部分でしたので、その辺りを軽くご紹介したいと思います。
エクストート=XTORT
この『EVE ZERO(イヴゼロ)』と、2022年6月30日に発売されたEVEシリーズ『EVE ghost enemies(イヴゴーストエネミーズ)』との時系列的なつながりの証明になる設定です。
『EVE ghost enemies(イヴゴーストエネミーズ)』にて、小次郎が瀕死の状態であること知ったプリシア女王が、エルディアの医師を日本へと派遣し、ある処置を行います。
それが「エクストート」です。
実は「エクストート」についての説明は『EVE ghost enemies(イヴゴーストエネミーズ)』内では一切触れられることないんですよね。
ですが、実はコレこそが『EVE ZERO』内に出てくる「XTORT」なんですよね。
「XTORT」は「拒絶反応を起こさせない移植用器官と実験用人体を作ることを目的としたクローンの集大成的技術」のことです。
『EVE ZERO(イヴゼロ)』のラストにて、この「XTORT」はアルカの手によってエルディアへと渡り、それによって「御堂真弥子」が誕生することになります。
そしてその技術はエルディアでさらに研究され「表皮組織の培養と同時並行した入れ替え」の理論体系まで確立されることになったんです。
Nシステム=ノバルティスシステム=シャサ・ノバルティス開発
この『EVE ZERO(イヴゼロ)』と、2019年4月25日に発売されたEVEシリーズ『EVE rebirth terror(イヴリバーステラー)』との時系列的なつながりの証明になる設定です。
『EVE rebirth terror(イヴリバーステラー)』にて、ジェス・カスターが使用した「テラー」と呼ばれる薬品や、深浦麻世が自身の記憶障害を食い止めるためにしていた研究。
それが「Nシステム」です。
そしてその「Nシステム」の「N」は「ノバルティス」の頭文字―――つまり「Nシステム」とは、『EVE ZERO』内に出てくる「シャサ・ノバルティス」が開発したモノなんですよね。
明確な表現はされていませんが、ラストのアルカの発言から察するに「シャサ・ノバルティス」はエルディアからの留学生なんですよね。
シャサ・ノバルティスは、エルディア科学局でこの「Nシステム」について研究しており、その後日本へと留学。その研究は「橘桜花」が引き継いだという経緯です。
そして天城健と出会って「XTORT」の研究に参加し―――という流れになります。
【まとめ】今後のシリーズ作品にも関わってきそうな前日譚的シリーズ作品
いかがでしょうか。シナリオ内には多くの「EVEシリーズ設定」などが盛り込まれている作品なので、今後のシリーズ作品をプレイする上でも是非一度はプレイしておきたい作品だと思います。
最後に「シナリオの完成度」的なモノで言えば、それほど悪くないと思います。
ですがどうしても原点より前の話ということで、原点に登場していない登場人物のほとんどが死亡してしまうという「仕方なさ」があり、そこはどうなの?と思うかもしれません。
マルチエンディング採用の完全版(ドリームキャスト版)はともかく、正史となるメインのシナリオではレギュラー陣を除けば、準レギュラーの美作・氷室冴子と、あとは葉室銀以外は全滅ですからね。
なので「途中までは良かったのに……」みたいな評価も多い作品だと思いますが、まぁシリーズ全体から見れば上の方に位置する作品だと思っています。
是非最近発売されたEVEシリーズをプレイしてファンになった人にはプレイしてもらいたい作品だと思います。
コメント