アレは5年くらい前のこと。これから冬を迎えようとしている11月の頃。
色々あって住むところが消えた。貯金ゼロ・有り金3万円くらいで路頭に迷うことに。
ドラクエの世界より物価の高いこの世界にて有り金30000ゴールドで旅立ちを余儀なくされた勇者ぼっち。宿屋(ネカフェ)に果たして何泊出来るのかっていう状況でのソロプレイは、まさに全滅必至。
あれだな、流行りの断捨離ってヤツ。部屋に不要認定されたのは俺なわけだが。
とはいえ親のスネをかじり倒した結果でほぼ勘当気味だった為、「実家に戻る」という選択肢のない状況。
そしてぼっち。「誰かに頼る」という選択肢は「何それ、美味しいの?」レベルで見たことがない。故に衣食住完備の住み込みバイトを探す羽目になった。
そんな時、偶然本屋でリゾートバイトの雑誌が出ていて、それに食いついた。
別にわざわざリゾート地に行く必要もなかったのだろうが「住み込み・3食まかない付き・半年限定」の三拍子に惹かれたのだ。
「日本人・健全・5000円ポッキリ」くらいの魅力。冷静な判断力を見失っていたことは否定しない。もうグイグイきた。シャッチョサン、シャッチョサンって怪しげなアジア人に腕引かれてた。
そしてそのままの勢いで面接を受け、あっさりと合格して長野県の雪山でのリゾートバイトを半年することになった。
あとから押し寄せてきた不安。その不安たるやココぼったくりバーじゃね?っていうくらいの。
なにせリア充共で溢れかえっているだろうリゾート地にぼっちが切り込むわけである。
それを勇気と呼ぶか、あるいは蛮勇と呼ぶべきなのか。
ぼっちに雪山でのリゾートバイトが出来るのか?
実際にぼっちが雪山でリゾートバイトしてきた感想だが。
結論としては、ぼっちにも出来なくはない。
確かに周囲で「ちょっと寒いね」「ほら、こうすれば温かいだろ(ぎゅっ)」「あ、ホントだ。温ったかい♡」みたいなリア充バカップル共のやり取りがそこらかしこで普通に行われていて、それを間近で見せつけられると「顔面凍傷不細工野郎が。その冷凍マグロ女と一緒にオホーツク海にでも沈んでろ」って割と本気で思うが。
だが出来なくはないなと感じたのは、同じく住み込みで働いているアルバイト達はそれほどリア充ではなかったからである。
クリスマスもお正月も雪山に住み込みでリゾートバイトしてるようなヤツに彼氏・彼女がいるわけがないのだ。
「っていうか彼女よりスノボなだけだし」みたいは言い訳を用意してココに集まってきているリア充(自称)な寂しいヤツらに混じってのバイトなら、きっと出来ないことはないと感じることだろう。寧ろこっちが憐れんだ目で見ちゃうまである。
とはいえ、ぼっちがリゾートバイトをするにあたっては、クリアしておいた方が良い条件が3つある。
条件① 住み込み用の部屋が個室であること
リゾートバイトの場合、相部屋のことがある。
2~4人部屋に押し込まれて、部屋にはテレビが1台、自分のスペースは1畳くらいパターンも少なくない。
当然それはぼっちにとってかなり過酷な環境。少なくとも同室のヤツと仲良くしないといけなくなる。
コミュニケーションの取り方を失敗して気まずくなっても部屋の交代は基本的に認められないことが多く、序盤でつまづくと期間いっぱいその状態で耐えないといけなくなるし、下手をすれば洗濯とか掃除とか押し付けられたりする可能性や、毎日部屋で飲み会が開催されて付き合わされる可能性すらある。
なので個室を用意してくれるところを選ぶと良い。
個室ならストレスフリー。誰もいない部屋で1人の時間を満喫できる。
誰にも聞かれることはないこともなく「愛してるよ、凛子」とラヴなプラスに囁くことだって出来るし、ライトハンドラヴァーと戯れてイカした匂いを漂わせても誰にも迷惑を掛けたりしないのだ。
それにふざけたヤツが相部屋だと、知り合ったばかりの同じバイトの女を連れ込んで一緒に生活してたなんてのもあったりもするらしい。
そんなのが隣で寝てたりしたら、その男を縛り上げて下半身をさらけ出して極寒の外に放置し、凍ったバナナで釘を打たせて根元から砕きたくなることだろう。俺のライトハンドなめんなってなるに違いない。
条件② 仕事を選べること
雪山でのリゾートバイトでの仕事は、大きく分けると「建物の中での仕事」か「建物の外での仕事」になる。
建物の中での仕事はリフト券の受付業務(主に女性)や、売店やレストランでの接客や厨房での仕事が多い。
温かいところで仕事ができる反面、外での仕事より給料が安い。また人数が少ないことも多いため、休みが少ないこともある。
建物の外での仕事は「リフト係」が多い。
客をリフトに安全に乗せるのがメインで、積雪が凄くてリフトが動かせない時は雪かきをしたりもする。例え吹雪の中であっても。
これがきついのだが、その分給料は建物の中で仕事より高め。猛吹雪の場合はリフトが動かせず急遽休みになったりもする。
ぼっちの場合、建物の外の仕事が望ましく、それを選べるところが良い。
理由は1人での作業時間が多い上、接客業務メインというわけでもないからである。
リフトに乗せるのも外での仕事になるので大抵2人1組で1人30分やったら交代して1人30分休憩だったりもする。その上リフトから客を安全に下ろす仕事もあり、そっちは椅子に座って1人で見てるだけ。
超楽である。むしろ幸せ過ぎて幸楽かもしれない。「お前、幸の薄さがえなりかずき並みだな」って言われたことのある俺が言うんだから間違いない。
デメリットはやはり吹雪の時が大変だってこと。その中での雪かきするとマジで地獄。
だが意外にも完全に1人の世界の仕事。
リフト係全員で雪かきするのだが、そんな吹雪の中で楽しく会話しようと思う気力のあるヤツはまぁいない。
それ以前に吹雪の中で声なんて聞こえにくいし。ぼっちにとってそういった「コミュニケーションの必要がない」のは「仕事が辛い」から差し引いてプラマイゼロになるメリットであるともいえる。
とはいえ吹雪はガチで辛いので覚悟はいる。
だが吹雪でリフトが1つも動かない時などは「わざわざ金を払ってまで雪山に来て、滑れず帰る羽目になるリア充バカップルざまぁw」と気分がスッキリできたりもする。
つまり吹雪はレベル0に与えられたリア充殺しでもあるのだ。「そのリア充をぶち壊す」っつって辺りを白く染める。リア充=幻想の方程式に偽りはない。証明終了。
条件③ 食事にこだわりがないこと
上記の2つは働く場所の条件だが、3つ目はぼっち本人の条件になる。
これは標高がそれなりにある雪山の上で住み込む際にクリアしておいた方が良い条件なのだが、実はそういった場所での住み込みバイトで出される食事には偏りがある。
まず基本的に生魚が出にくい。
刺身とか食べられないことが多い。山の上まで持ってくることを考えると、鮮度を必要とするような食材は駄目だってことだろう。
次にコロッケの比率が高い。揚げ物の中でも安い部類だからだろうか。
これは場所によって違うのかもしれないが1週間に1回は出てた。そんな毎週のように雪山でお料理行進したら流石のコロ助だって遭難するって。台風だって来てねぇっつうの。
そして飲み物。
お茶とか水とかはタダだが、コーラとか飲みたい場合は当然自腹。これがキツイ。
業者がわざわざ山の上まで持ってきてるから値段が高い。
いわゆる「山料金」ってヤツである。350mlのコーラ缶が200円する。
お酒も売ってるがそれらも全て割増し。雪山全てがぼったくりバーである。事前の不安は的中したと言える。
なので食事にこだわりがない方が良い。
こだわりが強いとそんな食生活には耐えられないし、お金が掛かることだろう。
当時わざわざ休みの日に山を下りて寿司を食いに行ったこともあった。せっかくの休みを何に使ってるんだって気になる。
何の為にリゾートバイトしたいのか。それが重要
上記の3つの条件を満たせば、ぼっちでも雪山でのリゾートバイトは出来るだろう。
だがもしリゾートバイトをしたい理由が「ココでの生活の中で友達や彼氏・彼女をゲットし、リア充の仲間入りを果たしたい」と考えているのなら、リゾートバイトは止めておいた方が良い。
今ぼっちなら、例え環境が変わったところで何も変わりはしないだろうから。
それにそれを実感して逃げたくなっても雇用期間中は当然逃げられないし。
だが「スノボをやりたいと思ってはいるが、1人でやるのには抵抗があるなぁ」と悩んでいるぼっちなら、雪山でのリゾートバイトはスノボをしたいという気持ちを後押しする理由になるだろう。
あるいは俺のように金無し・宿無し・友無しなぼっちで、金が溜まるまでのちょっとの期間だけ住み込みバイトをしたいと考えているなら、雪山でのリゾートバイトは、意外に良い条件ともいえる。
実際無駄遣いしなければ結構貯金出来る。半年あれば50万円くらいは余裕。それに延長雇用もなく、後腐れもない。
そんなぼっちの人がいたら、是非やってみてはいかがだろうか。
最後に一般的な人が感じる雪山でのリゾートバイトのメリットをまとめてみた。
【雪山でのリゾートバイトのメリット】
- 用意するものが生活用品と長靴くらいで済む
- リフト券をタダで使わせてもらえたりする
- スノボ初心者は同僚にタダで教えてもらえる
- クリぼっちにならないし、お正月ぼっちにならない
- 上手くいけば彼氏・彼女もゲットできる
なぜ彼氏・彼女がゲットできるのか。それは雪山マジックである。
スノボを滑ってる姿がカッコよく見えると顔にエフェクトがかかって不細工でもカッコよく見えるらしいし、ブスでもスキー・スノボウェアを着ているだけで途端に可愛く見えたりするらしい。
これが俗にいうリゾラバってヤツである。
だがしかし。雪山を出ればその魔法は解ける為、互いに後悔の嵐らしい。ざまぁwと言わざるを得ない。
以上。
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