今回は2001年9月27日に発売された『EVE The Fatal Attraction(イヴ ザ フェイタル アトラクション)』の感想や評価、そして考察をネタバレ有でご紹介したいと思います。
この令和の時代に、改めて過去のEVEシリーズ作品をプレイしてみました!ってことで、今回はPS1版の『EVE The Fatal Attraction』になります!
こんな人に読んでもらいたい!
- 『EVE burst error』が好きな人
- アドベンチャーゲームが好きな人
- EVEシリーズをプレイしたことのある人
この記事を読んで戴ければ、間違いなくすぐにでもプレイしたくなるに違いありません。ええ、間違いないでしょう。
原点となる『EVE burst error(イヴバーストエラー)』についてはこちら。
EVEシリーズ『EVE The Fatal Attraction(イヴ ザ フェイタル アトラクション)』の概要・あらすじ
『EVE burst error』の4年後を舞台に、あまぎ探偵事務所所長「天城小次郎」と内閣情報調査室の捜査官「法条まりな」の2人の主人公が連続猟奇殺人事件を捜査し、またも「エルディア」と「EVE」に深く関わってゆく事になる。
【小次郎編】
相変わらず港の倉庫街で細々と仕事をこなしていた小次郎。そこへボディーガードの依頼が舞い込む。依頼者は安藤商事という会社の社長、安藤左衛門。最初は断ろうと思っていた小次郎だったがその報酬が破格だったため、胡散臭さを感じながらも引き受けた。身を護ってほしいとしながらも多くを説明しようとしない安藤や秘書の栗栖野亜美。助手の氷室とともに安藤商事の裏側を調べつつ、小次郎は生涯初めてのボディーガードという依頼に挑む。【まりな編】
アメリカの特殊部隊での訓練を終えのんびり休暇を過ごそうと思っていた矢先、上司の甲野から連続猟奇殺人事件の捜査のため日本に呼び戻されたまりな。国家的大事件に発展する可能性があるとの事で渋々任務に就いた。被害者の娘ユカを保護しつつ、共に一連の事件の関連性を調べてゆくうちに、被害者たちが「旧エルディア情報部」に関わりがあることが判明していく。
【感想】プレイした率直な感想《ネタバレ有》
ここからは『EVE The Fatal Attraction(イヴ ザ フェイタル アトラクション)』の率直な感想をご紹介したいと思います。
小次郎とまりなが、すごく喋ってる!!
この『EVE The Fatal Attraction』では、フェイスウィンドウシステムが導入されており、キャラクターが画面の端に常に表示されています。
それによって……なんと、小次郎とまりなが、すごく喋ってくれるんですよ! 独り言ですけどね 笑
今までは小次郎サイドからまりなの声を、まりなサイドから小次郎の声を聴くことが出来ましたが、基本的には接触する機会の少ない2人なので、主人公なのに収録ボイスが少ないという珍しい作品でした。
ですがこの『EVE The Fatal Attraction』では、子安武人さんが、そして三石琴乃さんが、もう喋りまくってくれます!
もうこれがたまりませんね! 本作品の一番のウリは、これかもしれないと思うレベルですから、ファンの方はぜひプレイするべき作品ですよ。
プレイヤー配慮されたゲームシステム
アドベンチャーゲームと言えば、出てくる選択肢を選んでいくだけのゲーム性という印象が強いジャンルのゲームです。
ですがこの『EVE The Fatal Attraction』では、あえて選択肢を大幅にカットし、ゲーム画面上の様々な個所をタップすることでシナリオが進む「タッチャブルビューシステム」が採用されました。
これがかなり面白いんですよね。ただただ選択肢を選ぶだけの単調さを回避するだけでなく、かなりの没入感を得られるゲーム性となりました。
まぁデメリットとしては、ちゃんと決まった個所をタップしないとシナリオが全く進まなくなることもありますけどね 笑
さらにセーブ画面にも工夫がされており、チャプター管理されています。全体的にかなりプレイヤーに配慮されたシステムだと言えるでしょう。
プレイ時間は、かなり短縮できるかも?
プレイ時間は大体20時間前後かと思われますが、かなり短縮できるシナリオかもしれません。
その理由……それは下記の【評価・考察】の方でも書かせてもらいますが、推理モノ要素が少なめので、さくさく進めることが出来るからです。
推理モノ要素が少ないのは、殺人を犯しているのが誰なのかが分かっている状態でシナリオが進んでいくからで、そこの推理で手が止まることがないんですよね。だから短縮かもって話です。
それにこの『EVE The Fatal Attraction』は、全て謎が解明しないシナリオ―――つまり後半の説明が少ないシナリオですので、それも短縮することが出来る1つの要因になり得ると思います。
【評価・考察】改めてプレイした上での評価と考察《ネタバレ有》
ここでは『EVE The Fatal Attraction(イヴ ザ フェイタル アトラクション)』を改めてプレイした上での評価や考察を、ネタバレ有で書かせていただこうと思います。
ADAMを組み込んだことによる弊害?
『EVE The Fatal Attraction』は、『EVE ZERO』より前に発売されたPCアダルトソフト『ADAM THE DOUBLE FACTOR』と呼ばれるソフトが元ネタになっています。
『ADAM THE DOUBLE FACTOR』は、EVEシリーズ作品の派生シリーズ「ADAMシリーズ」の第1弾として販売されたソフトでしたが、結果としてその後の続編は販売されませんでした。
さらに『ADAM THE DOUBLE FACTOR』は、シナリオが途中までしかない(美村貴史の両親が殺されるあたりまで)未完成作品だったんですよね。
『EVE The Fatal Attraction』は、そんな『ADAM THE DOUBLE FACTOR』を盛り込みつつ、かなり大幅なシナリオを修正がほどこされて『EVE ZERO』の後に発売されたEVEシリーズ作品になります。
そのためか、かなりの弊害が見て取れます
不必要なキャラクターが多数
シナリオに必要ないキャラクターが多数存在します。
ブレード・高千穂 唯・六条 夕子などですね。。。しっかりとキャラデザされているにもかかわらず、かなり出番が少ないです。
恐らくですが、『ADAM THE DOUBLE FACTOR』のOPムービーで上記のキャラクターがガッツリ出ており、『EVE The Fatal Attraction』でもそのムービーを流用している部分があるので、そのあたりを考慮してとりあえず出しただけなのではないかと。
特に高千穂 唯はマジで意味が解らないレベルですね。ブレードの彼女?的な存在で、途中でプリーチャーにさらわれてしまうのですが、結果どうなったのかもわからずにゲームが終わります。
小次郎・まりなの印象が大分違う
シリーズ作品が生まれるたびに、どうしたって主人公への受ける印象というのは、キャラクターの年齢や成長によって変わってしまうものではありますが。
それにしたって本作品の主人公である小次郎・まりなの印象は、だいぶ異なっていて受け入れられない人もいるのではないでしょうか。
仕事に、そして恋愛に、煮え切らない男・天城小次郎
本作品のおける主人公の1人「天城小次郎」の印象ですが、やたら情けない印象を受けるのが特徴です。
どちらかというとマイペースというか、我が道を行くってタイプで、自分に絶対的な自信を持っている印象ある小次郎なんですが、本作品ではだいぶ異なります。
仕事に関しては、自らの身やまわりに危険が及ぶかもしれないと及び腰になったりしますし、恋愛に関しては弥生との関係に対してやたら思い悩んだりと、正直「誰?」ってくらいのカンジです。
もっと楽天的で自信家なイメージで、個人的には憧れている部分もあったので、そういった面を見せられるとちょっと萎えますね。。。
年齢による分相応な悩みと言えばそうなのかもしれませんが、「そんな常識、俺には通じないな」くらいの方が小次郎っぽいカンジがしました。
正義の風上にも置けない、自己中な女・法条まりな
そしてもう1人の主人公・法条まりななんですが……これがマジで「は!?」ってなるくらいのキャラ変でしたね。。。
まずは、その肩書……そもそもが「内閣情報調査室のエージェント」だったのに、完全に「諜報員」―――つまり「スパイ」になってしまっているんですよね。
なので警察組織の人間として、超法規的な立ち位置から事件を解決に導くってカンジではなく、日本のためなら暗殺だってなんのその!な存在になってしまっているんです。
どちらかというと、そういったダーティを担当しているのは小次郎の方が強いカンジだったのに、本作品では小次郎なんて足元にも及ばないくらいの真っ黒な人生を歩んでいるキャラになってしまいましたね。
だからなのか、性格も大分影響を受けています。
まず『EVE burst error』時のまりなは、屋上で御堂真弥子とランチをしている時に「真弥子のためなら仕事抜きでも守りたい」的なことを言っています。
それって自分が守りたいと思う人のためなら、自分より他人を優先できる―――つまり誰かの幸せを願える人間だということです。
ですが本作品におけるまりなは、そんな性格ではなく、完全なる自分本位―――自己中心的な考え方を持っているんですよ。
それが顕著に表れているのが、夢・目標について語った時ですね。
この『EVE The Fatal Attraction』における「法条まりな」の夢は―――まさかの世界征服 笑 その詳細は、ラストで語られます。
それは「自分さえ笑っていられれば、それでいい」的な話なんですよね……それは明らかに印象が違うと言っていいのではないでしょうか。
そのあたりを意識しているのか、新たな時系列のEVEシリーズ作品では「愛する人に笑っていてほしい」的なセリフを言う従来の「法条まりな」像だったのだと思います。
謎を残したままで、スッキリしないオチ
この『EVE The Fatal Attraction』のシナリオは、ラストのオチというか、最後まで謎を残したままで終わる展開なので、若干スッキリしないカンジが残ります。
さらに『EVE The Fatal Attraction』の続編的な立ち位置の作品は今後生まれないでしょうから、謎は謎のまま、未来永劫と語られることはないでしょう。
そんな謎の中でも、特に気になるものをピックアップします。
まりなサイドのシナリオのオチ
ボディガードの依頼を受けたことで、自らが背負うべき責任を知り、そのためにプリーチャーと敵対するという、小次郎サイドの展開とオチについては理解できます。
ですが、まりなサイドのシナリオのオチ……というか、展開については謎ですね。
とある連続殺人犯を追う任務を課せられたまりなは、被害者家族である藤井ユカを守りつつも真相に近付き、そして犯人を追い詰めるも逆にやられてしまい―――という展開でした。
まぁそこまではいいでしょう。問題はその後ですよ。
そこへ栗栖野亜美が登場し、彼女たちのパトロンとなって、前パトロンであるシュミットを暗殺―――ってそこまでの話はどこいった!?ってカンジですよね。
プリーチャーを完全野放しにして、御堂真弥子と同じクローンを生み出す研究に支援するって……あまりにもだな!って感じのする展開だと思うのです。
このオチは本当に謎ですよね。なぜこんな「法条まりな」になってしまったのかもそうですが、何がしたいのかもよくわからないカンジですから。
天城小次郎と氷室恭子の関係性について
正直、この『EVE The Fatal Attraction』における最大の謎はこれかもしれません 笑
それは「天城小次郎と氷室恭子は、実は姉弟なのかもしれない!?」説になります。
キーパーソンは「氷室冴子」という女性です。
「氷室冴子」は『EVE ZERO』にて初登場したキャラクターで、内閣情報調査室のエージェントであり、この『EVE The Fatal Attraction』にも登場します。
この「氷室冴子」が、小次郎と氷室恭子の母親ではないか?という話ですね。つまりは異父兄弟ではないか?ということです。
順を追って説明すると、まず『EVE ZERO』にて「氷室冴子」は、上司である「美作康治」との会話の中で、小次郎が自らの息子であるかのような発言をしています。
そして氷室恭子と氷室冴子は、ともに「氷室」の姓であり、容姿もそっくり。しかも氷室恭子と美作康治との会話の中で、氷室恭子と氷室冴子との間にはそれなりの関係性があることがうかがえるんです。
つまり氷室冴子は、まずどこかの男との間に氷室恭子を出産。その後エージェントとして内密に天城健と接触して結婚し、小次郎を出産。しかし天城健と共に殺されそうになったところで逃げ出し、死亡したと偽装して内閣情報調査室へと戻ったのではないかと。
この姉弟説は、それとなく匂わせる描写がかなりの数見て取れますので、可能性としては高いのですが……明言されていないので、謎のままになっているんです。
まぁ新たな時系列のEVEシリーズ作品では、氷室冴子・美作康治は今のところ登場してませんので、この姉弟説はなかったことになる可能性は高いですけどね。
気になるところではある謎でした。
【まとめ】迷走が見て取れるシリーズ作品
いかがでしょうか。この『EVE The Fatal Attraction』は、発売された順番や時系列の位置が難しい側面があり、若干迷走している感じは否めないと感じました。
EVEシリーズ作品の根幹たる設定―――エルディアや御堂真弥子、クローンなどをいかに盛り込んだシナリオを作るかという点に重点が置かれすぎて、シナリオの完成度的には微妙になってしまった印象です。
これがシリーズ作品の難しさなんでしょうかね。。。開発陣の苦労が透けて見えてくるような作品と言えるのかもしれませんので、そのあたりを意識しつつプレイしてみてはどうでしょう? 笑
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