今回は2006年8月31日に発売された『EVE new generation(イヴニュージェネレーション)』の感想や評価、そして考察をネタバレ有でご紹介したいと思います。
この令和の時代に、改めて過去のEVEシリーズ作品をプレイしてみました!ってことで、今回はPS2版の『EVE new generation』になります!
こんな人に読んでもらいたい!
- 『EVE burst error』が好きな人
- アドベンチャーゲームが好きな人
- EVEシリーズをプレイしたことのある人
この記事を読んで戴ければ、間違いなくすぐにでもプレイしたくなるに違いありません。ええ、間違いないでしょう。
原点となる『EVE burst error(イヴバーストエラー)』についてはこちら。
EVEシリーズ『EVE new generation(イヴニュージェネレーション)』の概要・あらすじ
前作から数年後の世界。あまぎ探偵事務所所長「天城小次郎」と内閣情報調査室の捜査官「法条まりな」の2人の主人公がとある2つの点をきっかけにそれがやがて線となり絡みあいながらストーリーは進んでいく。マルチサイトシステムをフルに生かした作品。
【小次郎編】
ある夜、倉庫街にある事務所に帰宅する途中、1人の少女に出会う。少女は彼が探偵だと知り、「私の記憶を探してほしい」という依頼を持ちかけてくる。しかしその直後、外車から降りてきた男によって連れ去られてしまう。桂木弥生の協力を得て、少女の身元は判明した。名前は「乃依」。と同時に捜査線上に浮かび上がってくるいくつかのキーワード。蜂、ブラー、ラベイユ。一件無関係に見えるこれらの点もやがて1本のラインへと収束していく。そしてそのラインは小次郎をある場所へ導くことになる。【まりな編】
ある夜、まりなはビルの屋上から飛びおりようとする青年を見つける。必至の説得を試みたものの青年は自殺してしまう。「計画は既に始まっている。もう誰にも止めることはできない」そういい残した青年の掌には蜜蜂のタトゥーが刻まれていた。青年の遺言を元に捜査を始めたまりなにふりかかる様々な障害。いつしかまりなは、何者かの陰謀によって殺人犯として警察から追われることになってしまう。愛用の銃はベレッタ1919。
【感想】プレイした率直な感想《ネタバレ有》
ここからは『EVE new generation(イヴニュージェネレーション)』の率直な感想をご紹介したいと思います。
完全攻略ガイドはこちら!
やはりEVEシリーズ作品とは言いにくい作品
本作品は、タイトルが『EVE new generation』というだけあって、新たなEVEの世界・時代を意識されて作られている作品です。
そのせいか、やはりEVEシリーズとは言いにくい作品でした。
EVEシリーズと言いにくいのは、エルディア・御堂真弥子といった要素がなく、ただ単に「クローン」というぐらいしか関りがないからですね。
確かにシナリオ自体は面白く、かなり完成度が高いですね。ネット上の評価も高めな印象です。
エルディア・御堂真弥子に引っ張られないシナリオは、恐らくシナリオライター的には自由度が高いので、より良いシナリオを生むことが出来たのでしょう。
ですがね……やっぱり私は『EVE burst error』のファンですから、エルディア・御堂真弥子に触れないシナリオは、EVEシリーズっぽくないのでちょっと残念でしたね。
ちょっとぐらい絡ませてもよかったと思うですよ。例えば初海がエルディアに渡ってクローン技術を会得したとか、そんなんでもよかったと思うんです。
なのでやっぱり「ちょっと残念だった」という感想が生まれてしまいました
直接関係のない話が長いシナリオ
本作品をプレイした上で、何気に思うことかもしれませんね。
とにかくそれほど事件などに関係のない、説明的な文章が長くて長くて、プレイしている時間が伸びまくる作品でしたね。。。
もちろん全く必要がない話ではないのですが、それらはどちらかというとオリジナル設定を補足するための「知識」の部分の説明が長いんですよ。
なのでプレイ時間は……まぁ20時間くらいですかね。
他のEVEシリーズ作品では長めな方だと思います。まぁ上記の説明的な部分を読み飛ばせば多少は短くなるかもしれませんけどね。
ですがそれ以外にも、シナリオが難解というか、一度プレイした部分を見直したくなるシナリオなので、プレイ時間は長くなることでしょう。
『EVE The Fatal Attraction』とは違うゲーム性の導入
1つ前に発売されたEVEシリーズ『EVE The Fatal Attraction』では「タッチャブルビューシステム」と呼ばれるシステムが導入されました。基本的には選択肢を排除し、カーソルでクリック(タップ)しながら進めていくシステムです。
その次回作となった『EVE new generation』では、それをさらに進化?させた「ディテクティブモード」なるシステムが導入されました。
十字キー4方向で箇所を指定し、□ボタン(見る)・△ボタン(話す)・〇ボタン(調べる)の3つの選択肢を選べることが出来るシステムです。
恐らく『EVE The Fatal Attraction』のゲーム進行が意外と大変だったことが要因で開発されたシステムだと思われるのですが……正直どうなの?って思う部分もあります。
システム自体はいいんです。ですが、そのシステムにかなりの抜けがある―――つまり完成度が低いんですよね。。。
□ボタン(見る)を押して話をしたり、□ボタン(見る)と〇ボタン(調べる)の判定が微妙だったり、十字キーが必要だったり必要がなかったりと、とにかくムラが酷くて完成度が低いんですよ。
確かにADVゲームはシナリオの完成度が重要ですけど、一応ゲームですからその辺りにももう少しちゃんと力を入れてもらいたかったですね。
【評価・考察】改めてプレイした上での評価と考察《ネタバレ有》
ここでは『EVE new generation(イヴニュージェネレーション)』を改めてプレイした上での評価や考察を、ネタバレ有で書かせていただこうと思います。
マルチサイトシステムの良し悪しあるシナリオ
まず言いたいのは、シナリオの難解さ……というか、分かり辛さですかね。
シナリオの完成度自体は高いと思うんです。面白いのも間違いないです。ですがそれと「分かり易さ」は比例しないのですよ 笑
それを左右しているのは「マルチサイトシステム」なんですよね。
「マルチサイトシステム」は、主に1つの事件を小次郎・まりなの2つの視点から追っていくことが出来るシステムで本作品は、そのシステムをフル活用するかのようなシナリオなんです。
いわゆる「時間的トリック」ですね。つまり小次郎とまりなの見ていたものが同じかと思いきや、実は時間―――日付が違ったというトリックなんですよ。
まさにこれは「マルチサイトシステム」ならでは!ってカンジで、かなり面白いシナリオだと思うんでですが、逆にそれが「分かり辛い」に繋がるんですよね。
小次郎とまりなとで日付のズレがあるにも関わらず、後半に訪れる「沖岸島」という場所では、1日を2回繰り返すので、独自の日付があり、これがかなり分かり辛くさせているんです。日付開始時のアイキャッチもフェイクでズレているので、余計分かり辛いことでしょう。
マルチサイトシステムをフル活用した結果、面白くはなったけど分かり辛くもなったという、マルチサイトシステムの良し悪しが垣間見える作品だと思います。
小次郎とまりなにそれほどキャラブレはないが……
次に小次郎・まりなについてです。
EVEシリーズ作品は、出るたびに賛否あるキャラクターに変更されてしまう傾向にあり、そのあたりをいつも残念に感じていました
その点、この『EVE new generation』においては、それほどキャラブレしていない印象です。
若干まりなのメンタルが弱かったり、推理力の低下が見て取れるカンジではありますが、基本的には原点たる『EVE burst error』に近い小次郎・まりなではないかと思います。
ですが……キャラクターデザインに関しては、正直どうかと思うCGがありますね。
絵のタッチや線の細さ、塗りなどが違うのはしょうがないにしても、やはりデザイン自体が受け入れにくいカットがありました。
「小次郎の鼻、ちょっと大きくない!?」って思ったりとか「これはまりなに見えないわ……」などなどがちょいちょいあるんですよ。
まぁ当時の流行だったり、最初からPCアダルト版の販売が決まっていたことなどが影響したCG制作になっているのだとは思いますが……キャラブレが少なかっただけに、デザインのブレは残念ですかね。
プレイヤーに推理させる気がないカンジが否めない
基本的には推理モノのADVゲームですから、小次郎・まりなの視点で犯人や真相を推理することを楽しむゲームなはずですが。
この『EVE new generation』は、まったくプレイヤーに推理させる気がない構成になっており、恐らく途中で解る人はいないでしょうね。
さらに最後までプレイしても明確に説明しないままな部分もあったりするので、下手したらクリアしても全貌を掴み切れないという人もいるかもしれません。
その要素をいくつか例として挙げます。
小次郎が記憶を消されていたこと
これは本当にプレイヤーに推理させる気がない要素の筆頭ですね。
小次郎が「Vectamide」を投与され、推理する上で重要な記憶が消されていたことです。
確かに途中で記憶を消すことが出来る薬が出てくるので、「もしかしたら小次郎も記憶を失っているかもしれない」と推理することは可能かもしれません。
ですがその失った記憶の中身がわからないと正直真相にはたどり着かないので、それが説明されない限りは推理も推測もあったもんじゃないわ!ってカンジなんですよ。
シナリオ的な展開として序盤は伏せておきたいのはわかりますけど、もう少し伏線を引いてほしかったですね。。。もう少し記憶の中身を匂わせてもらわないとどうしようもないです。
エフィの想いが、わかりにくい
さらに挙げるとすれば、それは「エフィの想いがわかりにくい」ことです。
エフィは計画遂行に終始しているようで実はそうでもない動きが多々見て取れるので、プレイヤーからすると一貫性がなくてわかりにくいキャラです。
それについて小次郎が言及すると、エフィは「もう一度よく考えてみてください。どこか1ピース欠けていませんか? そのひとかけらを埋め込めば、私の行動は理解できるはずです」と告げてきます。
そのポイントは「全ては愛のために……母に対する愛、娘への愛、それからもう一つの……愛のために」というセリフです。
っていうか、これだけじゃ普通はわかりませんよね。。。これも伏線が少なすぎるというか、そう想うに至るまでがなさすぎます。
母に対する愛、娘への愛は、長年一緒にいたことで生まれたであろう「愛」ですが、この「もう一つの愛」は、いったいどれだけ接点があったんだよ!って話なんですよ。。。
これを推理するのは難しいですよね。推測することは出来ても、それを裏付けるような根拠たる描写が少なすぎるので、どうにもできないんですよホント。
そこはもう少し何とかしてほしかったですね。
まりなの行動が不可解
極めつけはこれですね。シナリオをより難しくするためなんでしょうけど、それにしたって……って思う部分です。
まりなが要所要所で不可解な行動をとるので、それが推理の妨げになっています。
例えば大隈朋義に直接会った時、なぜ逃げたのか。
警察に突き出すために大隈朋義の家に行ったのに、警察に通報されたからと逃げ出すのは不可解。さらにその理由を「証拠がなかったから」と、やたらたどたどしく説明するのも酷い。
そして一番問題な部分は、草原の丘で自分の姿をした人間が、初海を殺害した現場を見てしまった後の行動です。
何も言わずにピックアップトラックの運転席のドアを開けて乗り込み、そのまま運転してどこかへ向かって走っていく―――って何!?って思いますよね。
「理性を失ったまりなは、本能の赴くままに身をゆだねた」って地の文だけじゃ説明できない不可解な行動だと言えるでしょう。
そんなことするから、小次郎サイドから見ると誰だ!?ってなるんですよ。そんな行動する根拠が不明瞭すぎてどうにも出来ませんよね。
【まとめ】数回はプレイ必須な作品
いかがでしょうか。個人的には「完全理解するためには数回のプレイは必須な作品」だと思います。
特にどの時が「乃依」で、どの時が「アルト」だったのか……これについては1度プレイした後、それを確認するためにもう1度はプレイする必要があるでしょう。
小次郎が1度だけあった「乃依」は、どのタイミングだったのか。まりなが「乃依」に会った時、そして「アルト」に会った時はどこだったのか。2度目のプレイは、そういったことを確認しながら楽しめると思いますよ!
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